かなり前からやってみたいと思っていたことの一つ、サルデーニャ島の巡礼の道を歩くということを「ラ・ヴィア・デイ・サントゥアーリ・イン・サルデーニャ La via dei santuari in Sardegna 」の著者のパオロとその友人たちとともに3日間行いました。
巡礼の道としては、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路が有名ですが、イタリア・サルデーニャ島にも、巡礼の道がいくつかあります。
巡礼路は、カミーノ(イタリア語で、道、道のりとか歩くという意味)と呼ばれることが多いのですが、こちらは、ヴィア(道、通り)と名付けられていますが、カミーノと同じ意味でつけられています。
サルデーニャ北東部、ガッルーラ地方のサントゥアーリオを出発地点、到着地点として歩きました。サントゥアーリは、サントゥアーリオの複数形。サントゥアーリオとは、聖なる場所、宗教的に重要な場所を意味し、巡礼の目的地ともなりえます。

1日目は、モンティのサントゥアーリオ、サン・パオロ・エレミタが出発地点。コルク樫や、コルベッツォロ、ミルトなどの木々に囲まれ、村からも10km近く離れた辺鄙な場所にありながらも、様々な伝説のあるサントゥアーリオとしてサルデーニャ内では割と有名な教会です。
14世紀に建てられ、その後、数回にわたり改築。
こちらの教会の聖パオロは、Paolo di Tebe、または、San Paolo Eremita で、キリストの使徒の聖パオロではありません。Eremita は、隠者の意味。228年にエジプトのTebe でキリスト教徒の裕福な家庭に生まれたが、15歳の時に、キリスト教徒迫害のため、砂漠へ逃げ、一人、祈りに捧げる生活を送った。89歳の時に、Sant’Antonio Abate に出会い、もし、自分が死んだらAtanasio司教からSant’Antonio Abateがもらったマントに包んで埋葬してほしいと頼んだ。 聖アントニオが旅から戻ると、聖パオロは、天に目を向けてひざまずいた姿で既に死んでいたため、マントにくるんで埋葬したという。なんと113歳だったという。さらに伝説によると、2頭のライオンによって掘られた穴に埋葬されたという。なぜ、エジプトの聖人に捧げられた教会が、サルデーニャの田舎にあるのかというと、こちらは、教会建立にかかわるある伝説にもとづいています。
コルク樫、レンティスコ、野生のオリーブ、ミルト、コルベッツォロの木々、そして、花崗岩。大好きなガッルーラ地方の香りと風景。




1日目の到着地点は、アグリツーリズモ。こちらでは、サルデーニャ島北東部のガッルーラ地方の伝統的な料理を堪能いたしました。サルデーニャ南部のカリアリからきたサルデーニャの人々は、初めて食べるものも多かったようで、日本人の私がサルデーニャ人にサルデーニャ料理を説明してしまいました。









前菜10種類以上、3種類のプリモピアット、ポルチェッドゥまたは、マイアレットと呼ばれるサルデーニャ名物の子豚の丸焼き、お菓子、ワイン、水、食後酒まで、セットメニューどんどん出てくるのがサルデーニャのアグリツーリズモ。少しずつ食べていかないと最後まで到達しませんが、この日は、みんなたくさん歩いたのでおなかがペコペコの人ばかり。みんなすごい勢いで平らげていきました。この日のアグリツーリズモのお客さんは私たちのグループだけ。通常、最低10人以上集まらないとアグリツーリズモはセットメニューのみなので、開けません。

2日目は、モンティのアグリツーリズモから、ヌッキスへ。主なルートは、旧鉄道跡を歩くというコースです。最初は、ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラDOCGの重要な生産地のため、ブドウ畑を眺めながら歩きました。そして、その後は、コルク樫の林を通り、花崗岩を削って作った旧鉄道の跡の道を進みました。





そして、3500年前の巨人の墓(トンバ・ディ・ジガンティ)と呼ばれる遺跡 Tomba di Giganti di Pascarédda にも立ち寄りました。この巨人の墓は、ちょっと特別な空気感でした。

ヌッキスは、人口400人ほどの小さな村にもかかわらず、5つも教会があります。



昨日はお肉だったので、この日は魚料理。でも、ベジタリアンの人が数人いたため、出してくれた、野菜のフレーグラのなんとおいしかったこと!

3日目は、ヌッキスから、ルオゴサントへ。ルオゴサントも人口2000人弱の小さな村にもかかわらず、コムーネ内には、なんと22ものサントゥアリオがあるという特別な場所です。




この日は、ラリーがあるため、予定していたルートを変更せざるを得なかったため、道に迷ったりもしましたが、無事、ルオゴサントのバジリカに到着。


3日間で歩いた距離は、70kmほど。歩いているときは、まだ、たどり着かない、足にできたまめが痛いとつらかった時間も長かったけれども、今、こうして写真を見てみると、こんな美しい景色の中を歩いていたのだと思いました。毎日快晴で、暑さのためもあり、とても疲れましたが、仲間たちと無事に歩けたこと、このような機会に恵まれたことに感謝の気持ちでいっぱいです。