人口が800人にも満たないサルデーニャ島北部、ログドーロ地方の小さな村、アルダラ。
しかし、中世のジューディカーティの時代には、トーレス王国の首都であり、王宮もあったという場所なのです。
王宮があったため、もちろん王家のための教会もありました。それが、サンタ・マリア・デル・レーニョ教会 。ノストラ・シニョーラ・デル・レーニョ教会とも呼ばれる。サンタ・マリアは、キリストの母である聖母マリア。ノストラ・シニョーラとは、直訳すると、”私たちの婦人”で、聖母マリアを意味するため同じことを示します。
また、サンタマリア・デル・レーニョのレーニョとは王国という意味で、サンタマリア王国教会という重々しい名前の通り、この祭壇で重要な公務就任のための宣誓なども行われていました。サルデーニャ島のジューディカーティ時代の歴史が詰まった教会なのです。
教会のすぐ近くには、今は廃墟となりほんのわずかな部分しか残されていないため王宮の姿を想像するのは難しいのですが、ジューディカーティ時代の王宮がありました。
サンタマリア・デル・レーニョ教会は王宮礼拝堂をいう位置づけから、アルダラ王宮の近くに建てられ、王宮の礼拝堂であり、司教座であり、王たちの戴冠式が行われました。11世紀に建設が始まり1107年に完成。
トーレス王国最後の女王、アデラシアとローマ帝国皇帝の息子、エンツォの結婚式も1238年にこの教会で挙げられました。
ファサードは付け柱で5つ部分にわかれており、扉の上には2連窓がある。北に鐘楼がある。
アルダラのサンタ・マリア・デル・レーニョ教会は、火山岩の石を用いて建てられたため、外観はほとんど黒に近い濃い灰色だが、内部には、高さ12メートルの輝くばかりの1500年代のレタブロ(祭壇画)があり、この時代のものとしてはサルデーニャ島で最大のものである。
また、非常に珍しい円柱に描かれた1600年代のフレスコ画が目を引く。円柱には使徒と教会博士が描かれている。
外側の暗い印象と内部の眩いばかりのきらびやかさとの対象に度肝を抜かれる。
1500年代のポリプティク(多翼祭壇画)は、内部にルネサンスゴシック芸術の典型であるといわれる1400年代のキリストを抱いた聖母像がある。こちらも黄金色に輝いている。
宗教行列の際に用いられたとされる12世紀の旗。
左はキリストを抱いた聖母マリア
右は、ヴェロニカのヴェール : 汗と血まみれのキリストが十字架を背負いゴルゴダの丘を登っていくとき、ヴェロニカという女性が布をキリストに差し出した。キリストがその布で顔を拭ってヴェロニカに返すと、その布にはキリストの顔が浮かび上がったという奇跡。
クリプタにはトーレス王国最後の女王、アデラシアの墓がある。