コギ―ナス湖を見晴らす見晴らしの良い場所に車を停め、緩やかな傾斜の坂道を登ると、こじんまりとした赤い粗面岩で建てられたロマネスク教会がひっそりと建つ。ノストラ・シニョーラ・ディ・カストロ教会がちょっと不思議なのは、塀で囲まれた敷地内にあること。中世の建物跡に建てられたからだそうだ。そして、教会南側のポルティコ(開廊)があるのも特徴。
カストロ Castro の名前は、ラテン語の castrum に由来し、事実、教会がある場所から1kmほど離れた場所には、ローマ時代の軍隊の基地があった。古代ローマ時代には、この辺りはカリアリからオルビアへ行くルートであり(現在もそうであるが)、戦略的にも重要な場所であった。
この小さな教会は、12世紀から1503年までは、なんとカテドラーレであった。
1164年または1174年の9月1日にコンサクラータされたという記録が残されおり、トーレスのジューディチェ、マリアーノ1世が1065年から1082年の間に建てたのではないかと言われている。
教会内部には1600年代終わり頃のレタブロがあり、中央のニッキアにはダマスク織の青いマントを羽織り、左手に聖書を持っている1500年代のマリア像がある。
また、教会北側の壁龕のAssunta または Dorminente と呼ばれるマドンナ像は17世紀のもの。
南側の開廊は1600年代につけ加えられた。北側のサクレスティアは1900年代のもの。
1503年までは司教座であったが、1500年代半ばには、昔の司教座だったという記載しかなされておらず、17世紀にサントゥアリオになったと考えられているが、その経緯はわかっていない。
教会としては、公式には奇跡は公表していないが、サントゥアリオを訪れることにより、病気が治ったなどの言い伝えがある。
教会の前には、1600年代の司祭の家とcumbessiasと呼ばれる巡礼者のための宿泊施設だった建物がある。